第52章 初恋苦し（北信介）完結

熱いオデコの汗を
濡れタオルで拭うと

『北さんが？
なんで、ですか？』

昨日と同じ
少し悲しそうな目が俺を映す

「…それは…」

『そんなんされたら…
また勘違いして…辛なる…
気まぐれなら…
止めて…くだ、さい』

熱のせいもあって
苦しそうな声と息遣い
俺の態度がそうさせたのが
申し訳なくて
でも、それ以上に

「俺はそんなお人好しやあらへん
気まぐれでサボるか、アホ。
これでも真面目で通ってんねんで
…離れたくないから
攫ってきた
……布施、昨日は
ごめんな？」

小さい身体が
不安を映す目が
愛しくて仕方ない

優しく落とした言葉に
潤んだ目が大きく開く

伝わったやろ？
俺がどんだけお前を…

『どういう事？』

をぃ！なんでやねん！
伝われや！！
結構分かりやすく言うたやろ！

「お前なぁ…」

『チャント言うて欲しい…
もっと…チャント！
安心したい
私の勘違いちゃうって…』