第52章 初恋苦し（北信介）完結

あっという間に去ってしまった
後ろ姿を
廊下に探すけど
遥か遠くに侑の頭が見えるだけ

「北くんなにしとるん？
ご飯食べやんの？」

「…何もあらへん
自分こそチャント飯食いや」

ボーッと突っ立った俺を
心配する声に応え
席に着くと

「今日は一人か？
侑らは来とらんのか？」

尾白アラン

「あの子も居らんな
寂しいな～？
拐って来たろか？」

大耳練

「止めとけ。
お前が拐うとか言うたら
マジで誘拐犯に見える」

赤木路成が
ワラワラと俺の席の回りに
弁当を持って集まって来る

「また喧しなったな」

「ォイ！
お前が凹んでるかもと思って
来たったのに！なんや！」

アランがギャンギャン騒ぐのも

「凹むかいや。
常に"いつも通り"やて」

練が人相悪い顔で
ニヤニヤ笑うんも

「せやな！
ほないつも通り
飯食おうや！
信介の婆ちゃんのオカズ
ちょっと分けてくれ」

路成が俺のオカズ取んのも
いつも通りで心地ええ。