第52章 初恋苦し（北信介）完結

「北さーーん！
聞いて下さい！
治（サム）が～！！」

「お前はホンマ喧しな…
昼休みまで乗り込んで来てからに…」

稲荷崎高校
三年7組の昼休みは
毎日えらい賑やかや

「エエですやん。
今年の三年はオトナシ過ぎますて！」

いや、まぁエエんやけど
ホンマか？って？
ホンマやで

なんでか？って
それは…アレや…
コイツが三年（コッチ）に
来る時は決まって

『あーつむー！！
一緒にご飯食べよう言うたやん！
なんでスグどっか行くん！？』

この子が来るからや

「うわっ…
また来た…！
お前が付き纏うから
三年（ココ）に逃げて来とんねん！
つーか、飯くらい
治と食えや！
なんで俺やねん！」

『なんで…って
分かるやん…なぁ！北さん！』

「お、おう…せやな…」

『ほな、見ぃ！
北さんもこの幼気な
乙女心を分かってくれてはるやん！
せやから、な？』