第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

インターホンの前
アタフタする俺の背中に

『それが自慢じゃなきゃ何？
てゆっか、ナニヨウ？
及川くんが来るなんて…』

冷めた声がぶつかった

「姫凪ちゃん！
あの…さ…」

『…なに？』

「いや、どうしたの？
顔色も悪いし
テンションも低いし
それに…」

勢い良く振り返って
言葉に詰まる

俺の記憶にある
明るい姫凪ちゃんは
そこには居なくて
伏せた目は
泣いていたのか
腫れぼったくなっていて
最近少し色を乗せてた唇は
カサカサした質感を
漂わせてる

やつれてるって感じじゃないけど
どんよりした雰囲気を纏って
気怠い感じの子になってた

『体調よくなくて
寝不足なだけだよ
で？及川くんがなんの用？』

門扉に凭れ
俺を見上げる目は
さっきまで泣いてたのか
赤く潤んでる

「…えっと…さ
最近来ないじゃん？バレー部
どうしたのかなって思って…」

『…どうもしない。
たまたま…用事が重なっただけ
朝は起きられないだけだよ』