第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

カッコつけたいだろ？
泣いてる所なんか
見せたくないだろ？

どうしようもねぇ
プライドだけど、さ。

姫凪の家を後にしても
帰る気になれなくて
でも誰かに会うのはウザったくて
その辺をブラブラしていると

「…黄昏が似合うとか
生意気だよ岩ちゃんのくせにさ」

一番会いたくなかったやつの声

「うっせぇ
殴んぞ、クソ川」

振り返らず吐き出したセリフに

「まさかだとは思うけど
喧嘩して来たとかじゃないよね？
及川さん頑張った意味ないじゃん！」

いつもの調子で絡んで来る及川

「茶化される気分じゃねぇんだ
帰れおせっかい」

背中を向けたままの俺に

「…だぁぁ！
うざいのはどっちだよ！
せめて茶化さないと
見てられないんだよ！
振られたからって
凹み過ぎ！」

及川が更に大きな声でがなる

「振られた？
…そうか、あれは振られたのか
だよなー…
"もう嫌だ"って
そういう事だよな…」

「え？岩ちゃん？
本気で振られたの？
姫凪ちゃん何考えてんの？」