第51章 ♡陽だまりの粒（岩泉一）完結

姫凪が涙を拭いながら
顔を背ける

色々行き違いと言うか
勘違いがあったのは
これで分かった
姫凪が俺を避けてた理由も
何となく分かった
だけど、俺の方のモヤモヤは
まだ晴れてない

「チョット待てって。
俺が好きでもない奴に
あんな事すると
本気で思ってんのか？
それに…お前だって
花巻と…」

『チョット待ってよ
なんでそこで花巻が出てくるの？
私ははじめちゃんしか…！
…ううん。
なんでも、ない…』

いや！なんで止めるんだよ！
"はじめちゃんしか"の先に
俺は用事があんのに！

「俺しかなんだ？
なんで言わねぇ？
なんで…」

そこまで口に出して
声が喉に張り付き

及川達に言われた
"チャントしろ"の言葉が
頭を巡った

そういえば…
俺は姫凪に
何も言って無かったんじゃねぇか？

伝わると思ってた
伝わってると思ってたけど
それこそ俺の勝手な
思い込みだったんじゃねぇのか？