一夜の幻【夢専用✣ハイキュー!!✣弱ペダ✣テニプリ】
第49章 煙の向こう側に笑みを(白布賢二郎)
それを背中に感じながら
天童さんは呆れた様に笑い
タクシーを止めた
『はい?』
「早く乗りなよ
門限あるんでショ?」
『…どこに…』
まさか…家に連れて行かれるなんて事…
「俺の部屋に決まってんじゃーん
それともホテルに連れ込まれたい?」
あったーー!
なんて二択だ!
どっちかなんて急に選ぶなんて…!!
「モタモタしてたら
車のキーホルダーになるよ
さぁ、乗って乗って!
運転手さーん__まで」
選ばせて貰えなかった!
『あの…』
「あ、そこ右で!
その先のコンビニで止めて下さーい」
話しかけようとする度
絶妙のタイミングで遮られて
タクシーは見た事のない景色を
窓に移しては遠くへ流して行く
「あ、ここで」
ワンメーターだから
お釣りは要らないと
素早く車を降り
逃げる隙は完全に潰された
「おいで?
お茶くらいは出すヨ」
頷くしかない状況なのに出ない足は
「…あーー!メンドクサッッ!
強行突破ー!」
『ぎゃぁあ!!』
地面から浮き上がって
オートロックを抜けた
拉致された部屋の中は
1分が何時間にも感じられた
あの人が飛び込んで来るまでは。