第49章 煙の向こう側に笑みを（白布賢二郎）

バチリと合った目に
ホッとしたのも束の間

明らかに面倒くさそうに
私から目を逸らす

ちょ！冷血漢！！
女の子が困ってるのに！助けてよ！

ジッとその人を見るけど
そのまま去って行こうとする
細い背中

もう怒った！
こんな冷たい人見たこと無い！

『あ！お兄ちゃん！』

ぜーったい、逃さないから！

遠くなる前に大きな声で
足を止め

「なに？お兄さん？」

『はい！トイレ行くから待ってろって
言われたんです！
タバコも持ってろって言われましたー！』

驚くその人の腕に巻き付き
ニコリと微笑みかける