第48章 小悪魔な甘さ（真波山岳）　バレンタイン2019 完結

2月14日
校門でも廊下でも
女子に声をかけられた

渡されるチョコレート
キラキラしたラッピングだけど

「ごめーん
オレ、甘いのって苦手なんだよね」

俺の気持ちは全然キラキラしない
苦手な直前が延々と続いてる時に似てる

ワクワクしない
テンション上がらない、なー…

「山岳っ！
どこ行くの？！
またサボる気でしょ！？」

「あ、委員長…
見逃してよ？
なんかこの空気苦手」

アチコチから刺さる
甘い視線に苦笑いを見せ
掴まれたシャツを引っ張り

「プリントは今度するからさ」

委員長に背を向ける

「山岳！
あの…これ…！
なんか流れで買っちゃって…
渡したい相手いないから
山岳にあげる！！」

そんな俺の背中に
グイッと押し付けられた
硬い箱

「え？委員長チョコとか買うんだ
オレが貰って良いの？」

「…そう言ってるじゃない！
別に嫌なら持って帰るから良いわよ！
オニギリの形のチョコとか
珍しいから買っただけだし！」

「ハハッ！オニギリの形なんだ！
オニギリにしてくれたら良かったのに
委員長のオニギリ
オレ好きなのになー」

委員長のいつもの空気に
少しだけ甘ったるさは紛れて

「今度また作っていく…」

「委員長優しいねー…
なんか落ち着く…」

小さな手からチョコを受け取る