第42章 勝負はコレカラ？（川西太一）生誕記念　完結

「あー…誕生日だったもんで…」

「素敵な誕生日の夜だったんですね」

「…そう、スね
素敵な誕生日プレゼントが
あったもんで」

「それは、おめでとう御座います
はい、着きましたよ」

「どうも」

ヒヤリとした夜風を頬に受け
背中を丸めて入る
一人の部屋

まだチカチカ携帯を光らす
LINEのメッセージに
小さく微笑み

メッセージを開かず
別の場所に指を滑らす

「＿＿もしもーし？
ん？別になんも？
なんか通知連続過ぎたから電話したー
そっちはどう？
眠くなるまでお話しねぇ？」

キョドる電話の向こうに
踊る心に突っ込みながら

相変わらず地味な反撃を楽しむ

”オヤスミ”の後
名前の後ろのチャン付けを
小さく願いながら

世界一地味だけど
きっと世界一幸せになれそうな
何回目かの誕生日は
静かに幕をおろした