第7章 君の為に出来る事
ー雅紀sideー
「相葉ー。それ運び終わったら休憩しようや」
「はい!」
俺は抱えていたセメントを言われた場所に運ぶと声を掛けてくれた先輩の元へ駆け寄った。
「ほら飲めよ」
「あ、ありがとうございます」
工事現場の隅にある鉄筋に腰を降ろして俺は貰った缶コーヒーを開けた。
舞ちゃんが発作を起こした日からもうすぐ一月が経とうとしていた。
お金は何とかすると言ったものの、そんな当ては無く、俺は深夜の工事現場でアルバイトを始めた。
「最近よく動ける様になったな」
隣に座った先輩が声を掛ける。
お世話になり始めた頃から俺の面倒を見てくれてる山口先輩。
厳しいが、温かく、他の人達からの信頼も厚かった。
「ありがとうございます。確かに最初程辛くは無くなりました」
山口「お前ヘロヘロだったもんな。あんなに使えない奴は初めてだったよ」
「すみません」
山口「でも必死に着いて来たよな。お陰で今は助かってるよ」
「ありがとうございます」
山口「………すげえよなお前。昼間はサラリーマンで…夜はこれやって。寝てるか?」
「まぁ、何とか…」
山口「まぁ、色々事情があるんだろうけど…無理すんなよ。お前が倒れたら元も子もないんだからさ」
「ありがとうございます」
暫く休憩した後、俺達は仕事に戻った。