第6章 連鎖
「雅紀…」
雅紀「頼れよ俺を…もっと…」
俺を抱き締めたまま、雅紀は泣きそうな声を上げる。
俺は雅紀の背中に手を回した。
雅紀「言っただろ。君を支えたいんだ。お荷物なんて言うな」
「雅紀…」
堪えていた涙が…溢れ出て来る。
俺はぎゅっと雅紀にしがみついた。
「雅紀…俺…お荷物じゃない?」
雅紀「………まぁ、お荷物と言われれば…お荷物だよ」
「え…」
予想外の答えに俺は顔を上げた。
雅紀「翔…。翔は俺の…命よりも大切な荷物だ。勿論舞ちゃんも。だから…落ちない様にしっかり俺に掴まってて。俺は絶対離さないから」
「っっ…雅紀…」
雅紀「良い?」
「ん…うん…!」
雅紀「俺の出来る限り…お金は何とかする。頑張ろう。舞ちゃんは助かる。助けてみせるから…」
「雅紀…ぐすっ…愛してる…」
雅紀「愛してるよ。こんなに人を愛しいと思った事無い。だから…翔は俺に支えられて?俺の隣で…笑ってて」
「うん…」
俺だって…こんなに誰かを愛した事なんて…。
ふと、脳裏に昌宏さんの顔が浮かび上がる。
………違う。愛してなんてない。
俺が愛してるのは…雅紀だけ。雅紀しか居ない。
あの人は…俺を捨てたんだ。
初めから…お互い愛なんてなかった。
昌宏さんの記憶を振り払いながら、俺は強く雅紀にしがみついた。