第1章 *
逃がさないよ?とニヤリと笑う二宮さんの指が私の唇に触れた。
「少し、かさついてる。」
低く、掠れた声で言われてかあっと
顔に熱が集まる。
思わず二宮さんの指から逃げるように
顔を逸らした。
恥ずかしい
もう、やだ。
逃げ出したい衝動に駆られる、けども
後ろは壁だし前には二宮さんがいるから無理だ。
「、こっちを見てよ。」
「…え、と…」
「見て、ね?」
耳元で吐息と共に囁かれ、心臓がドクンと跳ねる。抵抗を許さないその言葉に、私は従うしかなかった。ゆっくりと、二宮さんのほうを向いた。
「んっ…」
キスをされた。
ぬるり、と濡れた生温かいのが下唇を撫でた。
「…、開けて。」
唇の先で二宮さんが切ない声で呟く。
きゅんと心臓が疼いた。
その声に導かれるように、私は唇をゆっくり開いた。二宮さんは嬉しそうに笑って、口内に舌を入れてきた。
終わり