第8章 休業生活
「じゅ、潤…」
潤に出逢って10年以上経つけれど…こんな顔見た事ない。
潤「汚ねぇ手で翔に触りやがって…」
男2「いってぇ!」
俺を掴んでいた腕を取り握り返すと直ぐに俺から離れたけれど、潤は腕を掴んだままだった。
男1「おい離せよ」
潤「翔に謝れよ」
「潤。もういいから…行こ?」
潤の服を引っ張ったけど潤は腕を掴んだまま離さない。
男2「は?芸能人だからって調子に乗んなよ。マスコミとか週刊誌に言っちゃうよ?お前そうすれば完全に終わりだよな」
潤「………」
男1「お前が謝れよ。つーかバラされたくなかったら嫁さん貸せよ。遊んだらすぐ返すからよ。な、翔くん?」
「っっ…」
俺は怖くて潤の後ろに隠れてしまった。
潤「………言えよ」
男1「あ?」
潤「言いたければ言えよ。マスコミとかどうでもいい。自分の大切な人守れない位ならお前らボコボコにして刑務所入った方がマシだよ。やるか?」
男2「は?」
潤「ドラマで喧嘩の強い役やった時に役作りで指導してもらってるから俺そこそこ強いんだよ」
男2「いってぇ!!」
潤が掴んだ腕を軽く捻ると男は悲鳴を上げた。
潤「ほら」
よろめいた所を潤が軽く蹴り、相棒の元にフラフラと戻る。
潤「どうする?」
男2「ちっ…!調子に乗んなよ!」
俺達を睨み付けた後、奴等は逃げる様に去っていった。
潤「ったく…翔大丈夫か?」
「もう馬鹿!」
俺は潤の肩を思いきり叩いた。
潤「いって!何で!?」
「何でじゃない!こんな所で喧嘩しないでよ!」
潤「だって翔が…」
「刑務所入った方がマシ?もしそうなったら俺と子供どうすんの!?」
潤「………ごめん…ついカッとなって…」
頭を下げる潤を見て、俺は大きく息を吐いた。
「………でも嬉しかった」
潤「………え?」
「………大切な嫁さんって…言ってくれた」
潤「だって…本当の事だし…」
「だから許す。もう無茶はしないで?」
潤「………はい。ごめんなさい」
ようやく俺達は笑い合い、手を繋いだ。
潤「何買う?」
「この服。可愛くない?」
潤「おーいいね。あ、これもいいな…」
俺達はすぐに子供服の買い物に夢中になっていった。