第5章 結婚までの道のりー後編ー
ー翔sideー
心のどこかで思ってた。
どうにかなるって。
誠意が伝われば…分かってくれるって。
でもそれは…甘い考えだった。
「父さん…」
扉の外で聞き耳を立ててるであろう舞と修を除いた俺達4人がリビングに立ち尽くしていた。
潤「………」
翔父「話は終わりだ。松本くん…用が済んだら帰りたまえ」
「待って…父さん!」
リビングを出ようとする父さんを俺は腕を掴んで引き留めた。
「ちゃんと話聞いて…お願いだから…」
翔父「聞いただろ?そして私の答は『NO』だ」
「結婚を認めないって…子供が産まれるんだよ?それも許さないって事?」
翔父「産む産まないはお前の自由だ。好きにしなさい。私は松本くんとの結婚を認めないと言ってるんだ」
翔「何だよそれ…結婚だけ駄目って事…?酷いじゃんそんなの…!」
その瞬間、部屋に大きな音が響くと同時に俺の右頬に衝撃が走った。
潤「お義父さん!」
潤が慌てて俺と父さんの間に立ちふさがる。
俺は頬を押さえながら呆然と突っ立っていた。
翔父「酷い…?酷いのはどっちだ!翔!!」
産まれて初めて…俺は父さんが感情的になるのを見た。
翔父「どれだけ私を裏切れば気が済むんだ!?最初は事務所に勝手に葉書を送った事!次がCDデビュー!挙げ句の果てに家を継がずに結婚!?しかも先に子供まで作って…!自分勝手なのもいい加減にしろ!!」
「………」
潤「お義父さん!殴るなら俺を殴って下さい!今回の事は俺の責任です」
「君にお義父さんなんて呼ばれる筋合いはない!!」
潤「す、すみません…」
翔母「あなた!昔の事と今回の事は違うじゃないの!」
「何が違うんだ!何度も何度も親の期待を裏切って…だから最初から私は芸能界なんて反対したんだ!情けない…」
翔「………情けない…?」
父さんのその言葉に、一気に俺の思いも溢れて来た。大量の涙と同時に。