第21章 wound
ー翔sideー
目を覚ますと…もう既に日は上っていて。
隣に居る筈の潤は…居ない。
潤の枕も一緒に消えていた。
「潤…?」
昨日…あんなに脅えて拒絶してしまったのに。
隣に居ないと…やっぱり駄目なんだ。
潤…。潤に側に…居て欲しい。
松葉杖を付きながらリビングに入ると…潤はソファーで眠っていた。
「潤…」
潤の足元に…ゆっくりと腰掛ける。
ぐっすり眠ってるみたいで…その綺麗な瞳はまだ閉じたまま、静かに寝息を立てている。
「潤…ごめんなさい…」
静かに潤に話し掛ける。
「潤の赤ちゃん…守れなかった…」
ぽろぽろと…また涙が溢れる。
枯れても枯れても…涙は毎日の様に溢れてきて。
「俺の身体…汚された…汚い…もう潤に…愛して貰える資格…ないのかも…でも…離れたくないよ…」
毎日思い出すあの日の記憶。
思い出す度に…身体が震えて…苦しくなる。
思い出さない日なんて…来るのだろうか。
また潤に抱かれて…喜びを感じる様になれる日が…来るのだろうか。
一生来ないかもしれない。
寝室が…怖い。
誰かに触れられるのが…怖い。
でも…潤の側に居たい。一緒に…眠りたい。
俺は潤の側でずっと…涙を溢し続けた。