第4章 結婚までの道のりー前編ー
ー潤sideー
潤父「私は君を…恥ずかしいなんて思った事は一度もないよ。むしろ誇りに思う」
父さんは真っ直ぐに翔を見つめてる。
潤父「君は昔から…潤の心の支えになってくれてただろ?」
翔「え…?」
潤父「昔…潤が高校に進学しないと言っていた時…説得してくれたのは翔くん…君だろ?」
翔「………」
潤父「私達が何言っても聞く耳持たなかった潤が…君の説得で私達の望み通り高校に行ってくれた…。デビューした後も…自己主張の強いこの子をなだめてくれていたのも聞いてる」
翔「僕は…何も…」
潤父「潤がこんな良い大人になってくれたのは君のお陰だと思ってる。君と付き合ってると聞いた時…私は嬉しかったよ。将来一緒になってくれればいいと心の中で願ってた」
翔「………」
翔の目から涙が溢れた。
潤父「家事なんて出来なくても構わんさ。やりたかったら少しずつ覚えていけばいい。だから気に病む事はない。潤の隣で…潤を支えてくれ」
翔「はい…ありがとうございます…」
潤「これからよろしくな翔くん」
父さんが手を差し伸ばし、翔が
それを握った。
姉ちゃんと母さんは嬉しそうにそれを見ていた。
潤父「それよりも私は…翔くんのご両親の方が心配だな」
翔「え?」
潤父「大事な跡取りになる筈の長男を嫁に取られるんだ。口には出さないかもしれないがショックだろ」
翔「そんな事…。俺達が付き合ってるのは知ってるし…潤さんの事…一度も反対された事はありませんから」
潤父「まぁ、それなら良いんだが。その様子じゃあちらにはまだ挨拶に行ってないんだろう?」
お茶を飲みながら父さんは俺達を交互に見つめた。
「うん…。俺は先に翔の所に行こうと思ったんだけど翔が…『松本家に入るんだから先に松本家に挨拶する』って聞かなくて…」
翔「だってそうだろ?」
潤父「そんな事気にしなくていいんだぞ」
翔「いえ。筋は通さないと…」
潤姉「相変わらず真面目ね翔くん」
「だろ?真面目過ぎてたまに困るんだよね…」
翔「潤!」
顔を赤らめながら翔がこちらを見つめた。
そういうムキになるとこも本当可愛いな。
緊張感も解れ、その日俺達は松本家で長い時間談笑した。
久しぶりの穏やかで楽しい時間。
まるで嵐の前の静けさの様に…。