第18章 愛情と愛憎
ー翔sideー
「ぶつぶつ…」
ドラマ撮影の合間の休憩時間。
次のシーンの準備が押してるらしく、その間俺は楽屋で1人セリフを頭に叩き込んでいた。
どれだけ時間が経ったのだろうか。
扉をノックする音が聞こえた。
「はい」
扉に目をやると、笑顔の潤が中に入ってきた。
「潤!」
潤「翔お疲れ」
「どうしたの。撮影は?」
潤「今日ロケだったんだけど雨降りだして中止になったんだ。だから翔の顔見に来た。あ、差し入れ持って来たから」
「本当に?ありがとう」
俺は立ち上がり、潤に抱き着いた。
「はぁ…やっぱりここが1番落ち着く…」
潤の胸に顔を埋め、深呼吸をする。
「潤の香り…」
潤「お疲れ」
頭頂部に柔らかい感触がする。
「ん」
俺は顔を上げてキスをねだった。
そしてそのまま降りてくる潤の唇。
幸せ…。
「ん、ぅ…はぁ…」
少しずつ潤の舌が俺の口内を侵食する。
潤のキス…本当に気持ちよくなる…。
俺の方からも舌を絡めていると段々激しいキスに変わる。
潤が俺の腰を支え、音を立てながら唇を貪っていると…人の気配に気付いた。
キスをしながら入口に目をやるとそこには…生気の無い顔でこちらを見つめるヨコの姿があった。
「ん…!ヨ、ヨコ!」
慌てて潤の胸を押し、潤も焦って唇を離した。
横山「………準備出来たで翔くん」
「あ、は、はい…!」
潤「ヨコ。ノック位しろよな」
唇を拭いながら潤がヨコに強めに言った。
横山「は…?」
ヨコの目付きが鋭くなる。
横山「入口開けっ放しでやってたのはどこのどいつや」
潤「え…あ…」
横山「いくら結婚してるからって人に見せつけんなや。俺らアイドルなんやから」
そういい放った後、ヨコは強めに扉を閉めて行ってしまった。
潤「悪い翔…。そうだ俺閉め忘れた…」
「仕方ないよ。後でヨコに謝っとく」
潤「うん…俺もちょっと顔見せて謝るわ」
「うん」
潤「でも…ヨコらしくなかったな…最近あんな感じなの?」
「ううん…そんな事ない。俺もびっくりした」
潤「だよな…」
俺達は暫く動けずに扉を見つめていた。