第15章 1番大切な人
「………それで…何も言わずに別れたんですか?」
綾香「もし本当の事伝えたら…マーくん無茶しちゃうと思って…」
「………確かに…」
綾香「酷い振り方すれば…忘れてくれるって思ったんですけど…ごめんなさい…」
ぽろりと彼女の瞳から涙がこぼれた。
………マジかよ。
彼女も…星野さんもまだ相葉くんの事…。
「………星野さん」
綾香「………はい」
「貴女の気持ち…少し分かります」
綾香「え…」
「俺も…そうでしたから」
綾香「そう…なんですか?」
「はい。相手の事好きで…愛し過ぎて…自分が側にいちゃ駄目なんだって勝手に自分で結論出して拒絶して…でもね。忘れる事なんて出来ないんですよそんなの。忘れられなくて苦しくて…でも相手は前を向こうとしてる。自分が望んだ事なのにそれが嫌で…」
綾香「………」
「それで相手に新しい人が出来て…気付くんですよね。自分の間違いに」
綾香「………櫻井さん…それって…」
「夫の事ですよ。あ、これもオフレコでお願いします」
笑って話すと彼女も少し笑ってくれた。
「その時思いました。素直になろうって。遅いかもしれないけど…俺のした事の間違いを…愛してるって事を…プライド捨てて全部ぶつけました」
綾香「そうだったんですか…」
「そのお陰で今があるんです。結婚して子供授かって…色々言われたりもしたけど…俺は今幸せです。伝えて良かったと思ってますよ」
綾香「………」
「星野さん…相葉くんまだ貴女の事…想ってますよ」
綾香「………」
「お互いまだ愛し合ってるなら…その気持ち伝えるべきだと思いますよ」
綾香「………でも…」
「甘えたらいいんですよ。相葉くんがそれを望んでるなら…でしょ?俺なんて甘えてばっかで…」
綾香「………マーくん…」
ぽろぽろと涙を流した星野さんを俺は抱き締めた。