第66章 恋の行方 PART 1
待っていた。
多分時間にしたら15分程だろう。
でも俺にはもっともっと長い時間に感じた。
待っていた。
ひたすら彼女を。
やがてゆっくりと扉が開かれ、振り返ると驚いた顔をした彼女が俺を見ていた。
真央「潤くん」
「………久し振り」
久し振りに見る彼女は変わらない笑顔で俺の元に駆け寄って来る。
「突然来てごめん」
真央「驚いた。どうしたの」
「………大事な話があって」
真央「何?」
直ぐには答えずに俺は入口へと歩き、楽屋の鍵を掛けた。
真央「潤くん」
「マネージャーに話は通してある」
真央「え?」
「どうしても2人で話したかった。でも真央の家に行く訳にはいかない」
真央「私は…来てくれたら嬉しかったのに」
ゆっくりと真央が手を伸ばし、俺に抱き付いて来る。
俺は抵抗もせずに黙って真央を見下ろしていた。
真央「連絡しようって思ってたの」
「………翔と離婚したから?」
そう尋ねると頷いて強く俺に抱き付いてきた。
真央「………離婚した事は本当に残念に思ってる。でも…それならまた会えるよね潤くん」
「………」
真央「また会いたいの…」
ゆっくりと真央が顔を寄せてきた。