第10章 誕生
「せっかく横浜までドライブしようと思ってたのに…残念だったな」
翔「しょうがないよ。でも久し振りに映画観れたし…良かったよ」
「本当?ありがと」
翌日。
土砂降りの雨に見舞われたここ東京。
遠出は危ないと考えた俺達は近くのモールで映画デートを楽しんだ。
俺が主演した『隠し砦の三悪人』を見終わった俺達は手を繋いだまま映画館の入口までやって来た。
翔「………」
ふと、翔の足が止まり、天井を見つめる。
「………」
翔の視線の先には…もうすぐ公開の映画の特大パネル。
『花より男子ザ・ファイナル』のパネルだった。
センターに立つ牧野つくし役の真央に…その隣に立つ道明寺司役の俺。
俺は握っていた翔の手をギュッと握り締めた。
翔「………」
俺の方を振り返る翔に顔を近付け、俺はちゅっと優しくキスをした。
翔「ばっ…!」
驚いて口を押さえ、真っ赤になる翔。
「愛してるよ」
翔「こ、こんなとこで…見られたらどうすんだよ」
「別に構わないだろ。結婚してるって世間は知ってるんだから。不仲説流されるよりは良いんじゃね?」
翔「もう…馬鹿…」
「何ならもっと見せつけようか?」
翔「え?」
翔の腰に手を回し、グッと抱き寄せる。
翔「ちょっ、潤…!」
行き交う人が俺達に気付き、マジマジと見ながら通り過ぎる。
俺は翔の首筋に顔を埋め、キスをした。
翔「あっ、馬鹿…!」
ご無沙汰のせいで翔の身体は敏感になってるらしく、人前にも関わらず身体がビクビクと震えてる。
翔「潤…!駄目だってば…っっ…」
顔を上げると恥ずかしさで泣きそうになってる翔の顔。
駄目だ…。このままいくとここで翔を犯しそう…。
俺は興奮を沈めながら身体を離した。
「不安になったら何度でも言うって言ったろ?愛してるよ」
翔「場所考えてよ馬鹿…」
「ごめん」
翔「後さ…当たってるんだけど…」
「………バレた?」
翔にキスしただけで俺の興奮はMAXになり、股間は完全にテントを張った状態。
翔「………車行こ?」
「………良いの?」
翔「俺も…シたい…」
そのまま翔は俺の腕を掴み、スタスタと映画館を出て行ったのだった。