第9章 ♠熱が・・・
「雅紀!」
言うと同時に、勢い良くリビングの扉を開け放った。
…えっ?
視界に飛び込んできたのは、こたつ布団から真っ赤な顔をヒョコンと出した雅紀。
「ま~とぅ~どぅ~ん~」
(ま~つ~じゅ~ん~)
情けない声で俺を呼ぶ雅紀。
「何、どうしたの?」
言いながらしゃがんで、雅紀の顔に手を触れる。
熱っ…!
「雅紀、熱あんじゃね?」
目はトロンと虚ろだし、鼻もグジュグジュ状態の雅紀。
「いつから?」
「わがんだい…。あさおぎだらごんなだっだの…」
(わかんない…。あさおきたらこんなだったの…)
朝から、って…
もう夕方だしね…
「もっと早く電話してくれば良かったのに…」
「だっでぇ~」
まぁ、俺も午前中取材が入ってたから、仮に朝電話もらってもどうにもならなかったんだけどね…。
それを知ってるから、あえて雅紀も電話してこなかったんだろうし…