第22章 ♠コタツdeみかん
智side
和が家に遊びに来た。
ご苦労なことにゲーム機と、コントローラを持って。
でもこれも当たり前のことで、別に珍しいことじゃない。
当然テレビもゲームに占領され、退屈な俺はコタツに入ってスケッチブックを開いた。
モデルは……みかんだ。
みかんをモデルに、鉛筆を走らせた。
でも普通にみかんを描いててもあんまり面白味がない。
う〜ん、どうしよっかな…
えい、剥いてしまえ!
皮の一部を剥き、出来上がったのはみかんで作った“カタツムリ”。
ちょっと前に番組で習った“みかんアート”ってやつだ。
出来上がった“ミカンツムリ”と缶ビールを並べてみる。
アハ、シュールだ(笑)
俄然面白くなって、俺は夢中で鉛筆を走らせた。
「……さん、……野さん……智ってば!」
あちゃ、夢中になり過ぎて和の存在忘れてた(^_^;
「ん、なに?」
「みかん、乾いちゃうから…」
そう言うと、目線はテレビに向けたまま、口をあ〜んて開けた。
“ミカンツムリ”から一粒もぎ取って、和の口に放り込んだ。
「あ、あまっ」
え、ほんと?
俺も一粒食べてみる。
うん、甘い♡
和の口にみかんが無くなったことを確認して、もう一粒あ〜んしてやる。
ついでに俺の口にも自分で“あ〜ん”する。
そんな事を繰り返してる内、あっという間に“ミカンツムリ”はただの“みかんの皮”に成り果てた。
まぁ、コレはコレで面白いかもね(笑)
俺は再びスケッチブックに向い、和は相変わらずゲームに集中している。
部屋にはスケッチブックの上を忙しく走る鉛筆の音と、和が操るキャラクターのピコピコ音だけが響いていた。
夜は相葉ちゃんも呼んで鍋でもしよっかな。
相葉ちゃん来たらきっと賑やかになるしね(^^♪
これが俺達の“日常”
おしまい