第36章 サボテン
Jun side
お互いの背中に手を回して
ぎゅっと抱き締めあうと
ふぅっと躰の力が抜けていく
潤「翔くん…あったかい…」
小さくそう言うと
翔「潤もあったかいよ…」
耳元で大好きな声が聞こえる
昨日までは抱き締められても
躰が勝手に強ばって…
でも今はやっぱりココが1番安心して
落ち着ける場所に戻った
それが嬉しかった
背中にあった翔くんの手が動いて
後頭部を包まれて
視線が絡んだ
そのまま唇がちかづいてきて
潤「んっ…んん…ふぁっ…」
優しく舌が絡められる
翔「潤…ありがとう…」
俺のセリフだって言うのにまだ言うから
潤「翔くんもありがとう」
そう言って軽く翔くんの頬を摘んでみた
翔「何すんだよ…」
翔くんにもお返しとばかりに頬を摘まれて
ふふっと同時に笑い合った
自然にこうして笑いあえるのが幸せで
零れそうになった涙をこっそり拭った
もう1度背中に腕を回そうとすると
ぐーっとお腹の鳴る音が2つ聞こえて
また笑い合う
翔「お腹すいたね」
潤「先にご飯にしよっか」
今日は疲れたから出前でいいか…なんて話しながら
棚の上に乱雑に置かれた広告から
蕎麦屋のものを手に取って
あたたかいキツネ蕎麦を2つ注文した