第36章 サボテン
Sho side
肩に顔を埋めて泣きじゃくる潤をなだめて
ソファに座らせた
泣きながら…
ほとんど言葉にはなってないけど
俺の名前を呼びながら
ごめん…とか…
たぶんそんなことを言いたいんだと思う
翔「潤…?大丈夫だから…ね?」
ソファで小さく丸まった潤を
抱きしめて落ち着くまで背中を温めた
しばらく泣いていて…
落ち着いてきたから
話をしようと顔を覗くと
気まずそうに視線をそらした後
ふっと笑った
潤「はぁ…ごめんね…いきなり泣いて…」
そんなことはどうでもよかった
何に苦しんでるのか…俺はそれが知りたい
それなのに
潤「もう…大丈夫…ありがとう…」
そんな,思ってもいないような事を
辛そうな表情で言ってのける
翔「潤っ…」
俺は離れていく躰をとっさに掴んだ
躰はまたビクッと揺れる
翔「ちゃんと話して…?何があった?」
今度は強めに言った
こんな潤を放っておけない
聞かないことが優しさだとは思えなかった
翔「俺には話せないこと?それなら…他の人呼ぶ?誰になら話せる?」
潤が俺に頼れないなら…
悔しいけど誰かに頼るしかないと思った
そんなの許せないけど…
でも…もしもそれが潤のためなら…
翔「頼むから…一人で抱え込むなよ…」
最後はもう頼み込むように
潤を抱きしめた
やっぱり躰は強張るけど
強引に抱きしめ続けると
次第に肩の力が抜けてくるのが分かった
そして,どれくらい時間がったったか…
ようやく,シンと静まった部屋の中に潤の声が零れた
潤「翔くん…ごめんなさい…俺…萩原さん…が…怖い…」
それは俺にとって
思いもよらない言葉で
言葉を理解するまでに
かなりの時間がかかった