第34章 ランドスケープアゲート
Kazunari side
和「んっ…ふ…ぅ…っ…」
智の舌が優しく唇を舐めて
口内に入り込んできた
歯列や上顎を確かめるように舐められて
ぞわぞわが躰を浮かす
和「は…ぁ…大丈夫…」
唇が離れて,呟きながら智を見ると
俺を見つめる瞳に熱が籠っていた
ドキドキする心臓が
さらに大きな音を立てる
お風呂場で消化しきれなかった
躰の疼きがじわじわと湧き上がって
また智を求め始めた
和「…さとし…」
智の首に手を回そうとすると
そっと止められて
困ったような顔で見つめられた
智「ビール…」
和「え…?」
智「ビール…もう一本飲む?」
俺を見ていた視線が外れて
躰が離れていく
顔を覗くと,ヘラッとしたいつもの笑顔を向けられた
はぐらかされたみたいで
なんだか腹が立って
和「ビールなんていらない…」
睨んで言うと
そっか…と視線を落とした
素直になれない自分を棚に上げて
智を責めるのは間違ってる
わかってるけど…
和「ねぇ…智がいい…」
やっぱり…智が欲しいから…
智にも俺を求めてほしい
俺の言葉に顔を上げて
また困った顔をする
智「でも…」
わかってるよ…
智は優しいから
俺の躰を気にしてくれてる
でも…明日も休みだし…
そんなの関係ないくらい
求められたいときだってある…
和「ベッドいこ…」
カセットコンロの火を消して
鍋のふたを閉めた
立ち上がって視線を合わせずに
智の手を引いた
顔が熱い…
赤い顔を見られないように
前だけを見て
新年,初めて
寝室に足を踏み入れた