第19章 シンビジウム
Sho side
「翔!なんだ,あの記事っ」
翔「しるかっ…俺が聞きてーよ!!」
大学時代の友人との新年会
久々に集まったから
皆酒が進んでバカ騒ぎになってきていた
ちょうど共演女優との熱愛報道が出て
俺自身,寝耳に水で憤ってた所で…
いつもより酒のペースが速かった
「翔のタイプじゃないよな?あの子は…」
「じゃぁ…タイプは?」
いい年齢になってきて…
周りは結婚出産ラッシュ
集まれば家族の話や
結婚の話に…自然となる
翔「タイプ?…そうだなぁ…
料理上手で…何事にも一生懸命で,自分に厳しくて,皆に頼りにされて,気が利いて,バリバリ働いてカッコいいんだけど,甘え上手で…笑顔が天使みたいな子?」
何の迷いもなく言うと
一瞬沈黙があって…
その後,笑いに包まれた
「いねーよ,そんな子」
「注文多すぎるだろ」
みんな笑いながら口々に言う
弄られるけど,みんな仕事を理解してくれていて
“櫻井は当分,結婚できないヤツ”
自然とそういうポジションにしてくれるから気楽
でもさ…理想のタイプ…?
まさにいるんだよねー…天使が…
…会いたいな…
「翔…大丈夫か?」
久しぶりに酔ってクラクラしてきた
翔「ちょっとトイレ…」
風にあたろうと店の中庭に出た
時間を見ると
そろそろ潤の仕事が終わる頃で…
電話しちゃお…
潤『もしもし?』
コールの後の優しい声に
余計酔いが回る…
翔「もしもしー?じゅんー?」
潤『うん…翔くん…酔ってる?』
笑いの含んだ声も愛おしい
翔「酔ったー……ねぇ…会いたい」
頭が回らなくて
ただ思うことを口にした