第12章 ケイトウ
Jun side
「お疲れ様でしたー」
ピンでのテレビ誌の取材が終わって
逸る気持ちを抑えながら
少し早足で楽屋に戻る
今晩から明日にかけて
翔くんと2人きりでのお祝い
コンサートのときに
お互いの部屋に泊まったりはしてたけど
“2人の部屋”に泊まるのは今日が初めて
レストランは夜景が綺麗な個室を予約済みだし
準備は完璧
鞄の中のプレゼントを確かめて
先に終わってるであろう翔くんに連絡をした
翔『もしもし?』
数コールで出た翔くんに
終わったよ,と伝えれば
翔『駐車場にいるよ』
もう着いてる,と言われて
すぐ支度をして楽屋を出た
今日はマネージャーに
帰りは自分で帰ると言ってあるし
ぬかりはない
ずっと楽しみにしてた5年記念日
今日と明日だけは誰にも邪魔されたくない
駐車場の角に停まっていた車の
助手席に素早く乗り込んで
翔「お疲れ様」
潤「翔くんもお疲れ様」
周りを確認して
軽く触れるだけのキス
車が発信して
駐車場を離れてから
深めに被ったキャップを脱いで
ふぅっと躰の力を抜いた
5年間でカメラの位置も
記者がよくいる位置も
なんとなく覚えた
駐車場の出入口は要注意
でもこんなコトでさえも
翔くんと過ごした短くない時間を感じる