第61章 ミラク
Masahiro side
雅「ねぇ,やっぱりなんかあった?」
腕を絡めて雅紀が上目遣いで覗いてくる
…可愛いんだよな~…ホント…
事務所連中の中で嫉妬してたって仕方ないのに…
俺もまだまだだな…
昌「何もねーって…」
言いながら雅紀の口を塞いだ
雅「んっ…っ…ダメだよっ…誰かに見られちゃう…」
慌てて雅紀が俺から離れた
昌「わかってるよ…」
手に持っていた煙草の灰を落として口に咥えると
雅紀の綺麗な指がそれを取り上げた
昌「なんだよ」
雅「これから歌うのに…喉痛めちゃうよ…?」
そう言って煙草を揉み消した
…しっかりしてるよ…うちの奥さんは…
雅「ね?戻ろう…?」
俺にニコっと笑いかける雅紀の唇をもう一度塞いだ
雅「んんっ…もぉっ…見られちゃうってば!!」
顔を真っ赤にして怒られた
怖くないけど…
そんなに拒否らなくてもいいじゃねーか…
でも,雅紀が俺を気にしてくれるのはわかったから
少しだけ気持ちが落ち着いた気がした
部屋に戻ると案の定
伊野尾がよってくる
「先輩~どこ行ってたんですか??」
雅「うるさいな~…おまえ練習しろよー」
「してますよ~」
こいつ…わざとか…?
やっぱりわざと雅紀に触ってるよな??
思わず睨むと
伊野尾がますます雅紀にひっついた
しばらく2人を睨んでいると
雅紀が困った顔で近づいてくる
雅「あの…松にぃ…伊野尾が…怯えてるよ…?」
昌「あいつ…おまえに気があるんだろ?」
雅「えぇ!?」
心底驚いた顔をする
雅「…ないないっ!!絶対ないっ!!」
少し考えてから勢いよく手と首を振った
昌「なんで言い切れるんだよ…抱きつかれすぎなんだよ…」
思わず本音を漏らすと
雅紀が黙って俺を見つめた
…やべ…
言うつもりの無かった言葉だけど
もう取り返しがつかない
仕方なく俺も黙ってると
雅「それって…ヤキモチ…?」
そんな言葉と共に
嬉しそうなニヤケ顔が降って来た