第25章 ベルフラワー scene2
「潤さ…あいつのこと、許してやれよ…」
「え?」
「翔くん」
「…なんで…?」
「あれも、愛なんだよ…」
そう言って大野さんは俺の上で眠ってしまった。
どうして許せるんだろう。
大野さんは許しているんだろうか。
あんなことされて。
……そんなこと言ったら、俺だってなんで許して貰ってるんだろ。
普通だったら考えられないこと、したのに。
愛だけでは片付かない。
そこに何があるのだろう。
大野さんの寝息が聞こえてくる。
そっと俺は大野さんをベッドに下ろす。
寝顔を眺めていたら、この人の宇宙はどこまで広いのかと思った。
俺の罪も、翔さんの罪も全部飲み込んで。
どこまで広がっていくんだろう。
その宇宙をちょっとでも感じたくて、その胸に頭を載せる。
心臓の音を聴く。
じっと目を閉じて感じる。
この人を誰にも触れさせたくないっていうのは、俺のエゴだと思ってたけど。
それも愛なのかな。
わからないけど。
きっとこれから大野さんが教えてくれる。
なんとなく、そう思った。
【END】