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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第20章 ポンパドールscene1


「どうしよう…俺…リーダーに入れちゃった…」


そこかよ…いまさら…


「いいんじゃない?練習なんだから」


俺は努めてサラっと言ってやった。


大野さんがリビングへ入ってきた。


「雅紀…」


雅紀がビクッとした。


「練習だからね…忘れないでね?」


念を押した。


一瞬リビングがシーンとなった。


「ま、練習だから。全部、ね」


俺もダメ押しした。


ふたりがほっとした顔をしたから、それでいい。


俺は大野さんを抱き寄せると、こめかみにキスをした。


「もう可愛い子ちゃんは金輪際貸さないからな」


ふたりは神妙に頭を下げた。


「ありがとう、潤」


「ありがとうね、リーダー」


とにかく、ふたりにくれぐれも無理をしないよう伝えてかえした。




帰した後、大野さんは俺をぎゅっと抱きしめた。


「…大野さん…?」


「俺が一番大事なのは、潤だからね…?」


「……うん…ありがとう」


大野さんはもっと腕に力を込めた。


「愛してる…」


俺たちは、お互い両思いで付き合ってる。


これは本当に奇跡で。


こんな確率、本当に奇跡で。


どんなに凄いことなのか、身に沁みた。


そして、こうしていられる幸福をまた、感じた。


「智…離さないよ…」


俺はそう言って大野さんを抱きしめ返した。


「愛してる…」


16年先も、俺はこの人を愛している自信がある。


そしたらその時伝えよう。


あの時は、嫉妬で死にそうだったって。


今は、ひみつ。



俺は寝室からピンを取ってくると、また大野さんの前髪をポンパドールにした。


「かわいい。智」


「もー。またごまかす…」


ほっぺを膨らました大野さんの頬を両手で潰して空気を抜く。


その尖った唇に、俺はキスをした。



【END】
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