第18章 ミントscene1
朝起きたら、隣に和也が居なかった。
「和也ー?」
そう呼びかけてみるけど返事はない。
しょうがなく起き上がって探す。
どこにいるのかと思ったらキッチンにいた。
シンクの前でしゃがみこんでる。
「どうした?和也」
「さぁとしぃ~…」
「え?」
見ると手には黒焦げの食パンを2枚も持っている。
「どうしたんだ?」
「こーがーしーたーぁ…」
そういうと泣きだした。
「ごめんなさぁい…」
子供みたいになきじゃくる和也を俺は眺めた。
「和也…おしおきだよ?」
「やだぁ…ごめんなさぃ…」
「だってそのパン、俺のお気に入りだよ?しかも最後の2枚だよ?」
「だから謝ってるぅ…」
えづきながら泣いてるその姿がそそる。
堪らない。
もっと泣かせたい。
べそべそしながらも食パンを離さない。
俺はその手を取って立ち上がらせた。
食パンを取り上げると、ゴミ箱に捨てた。
「…ごめんねぇ…智…」
まだべそべそしてる。
「後ろ向いて?」
「ふぇ?」
「ほら、そこに手をついて」
シンクを指さす。
和也の目に怯えが浮かぶ。