第29章 ラズベリーscene4
部屋に帰ったら、もう我慢ができなくて。
俺たちは打ち止めになるまでお互いを貪った。
もう出ない…
朝日が黄色く見えた。
そのまま泥のように眠った。
また夢をみた。
神様が俺たちの指輪を咥えていた。
それをそのままごくんと飲み込むと、笑った。
小さなお狐様が二枚の絵を咥えて踊っていた。
三人はそのまま闇の向こうへ消えていった。
めざましの音が鳴り響いた。
びくっとして起きた。
翔ちゃんも隣で起き上がった。
急いで指を見たら、なくなってた。
「翔ちゃん…」
「うん…」
翔ちゃんの指の指輪も消えていた。
「お礼に持って行かれたね」
翔ちゃんが気の抜けたような声を出した。
「だよね。やっぱ」
俺たちは目を合わせると笑い出した。
やっぱりお稲荷さんが力を貸してくれていたみたいだ。
上手く喋れない俺に力をかしてくれたのも、きっとお稲荷さんだ。
きっと全部見守ってくれていたんだ。
二人でリビングに行って、お父さんの手紙を読んだ。
『許すことはできない。だがお前たちをずっと見ている』
そう書いてあった。