【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第4章 イタリア行き
人には、役割ってものがある。
お兄ちゃんが組長になるのと同じように、私にも役割がある。
それが、マツノファミリーのお嫁さんになること。
理解はしてるし、今まで好き勝手してきたんだし、不満もない。
でも、お兄ちゃんとの連絡手段が無くなったから、ちょっと寂しいだけ。
向こうに行けば、嫌でもフランス語の練習をするんだろうし、いい機会だと思う。
でも、やっぱり思うのは、許嫁って自覚がない事。
どうやったら自覚するのか、と聞かれたら反応に困るけど……。
とりあえず、まず最初にするべき事は……
「鈴ちゃーん、ねぇねぇ、聞いてる~?」
「き、聞いてるよ……、おそ松さん」
「君は本当に釣れないな、マイプリンセス」
この二人のセクハラに慣れること。
今現在、太ももと触られたり、肩を抱かれたり、髪にキスされて凄く苦しい状況。
流石に、膝の上に乗るのは拒否したけど。
なんていうか、断ることも徐々に覚えていこう。
「俺の事呼び捨てで呼んでくれよ~」
「はいはい、おそ松」
「フッ。どんなに冷たい対応をしても、真っ赤な薔薇のように、美しく色づいた顔はストレートに感情を表してるぜ?」
う、うーん。
まずは、この二人のセクハラに慣れないと……。
胸とか触ってこないんだけど、明らかに私が恥ずかしがることを重点的にやってくる。
耐えろ、耐えろ、耐えるんだ私……!
でも、顔が熱いし、心臓も壊れるんじゃないかって音がするし、もうどうにかなりそう。
頬に当たる手が冷たくて、男の人だなってわかる手をしてて。
突然、背中をツツーってなぞられて
「ひゃんッ!!」
なんて、つい声が出てしまう。
すると、二人はくつくつと楽しそうに笑うから、辛い。
「も、もう! からかって楽しいですか?」
「楽しいぜー? 可愛い反応してくれんだもん」
「あぁ、そうだな。思った以上に可愛くて……、すまない。少々やりすぎたな」
そう言うと、二人はセクハラを止めてくれる。
窓の外を見たら、もうマツノのおじさまが居る駅の近くだね。
――というか、マフィアが電車乗って移動したの?
いやいや、まさかねぇ!?
絶対、考えたくない。