【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第2章 途切れた連絡手段
「――肉、嫌いなのか?」
「うん、嫌い。何回か松阪牛のA5ランク食べたけど、全部無理だった」
一回食べたことはあるけど、やっぱり肉は肉。
肉嫌いでも、高い肉なら食べれるって言うのは嘘。
やっぱり感触とか臭いとかは肉そのものだったし。
逆に、鹿児島産の黒毛和牛は食べやすかった。
あれなら、食感をガマンすればなんとか食べれるし、味はさっぱりしてて凄く好き。
「それは、悪い事をしたな」
「大丈夫、食べれる物はいっぱいあるし」
意外や意外な反応だった。
普通なら、やれ偏食だのやれ不健康だの、やれぶりっ子だの色々文句を言われる所。
「へー、小鳥は肉大好きだったのに」
偏食だって言うのは自覚してるけど、否定され無理矢理食べる事を強制されるのは好きじゃない。
お兄ちゃんにも「我儘な妹だから」と苦笑されてたのに、この人達は結構心が広い人なんだ……。
「食べろって言わないの?」
「えー? 高い肉だけ食う女は嫌いだけどねぇ?」
「そうだな。それを相手に強要もしないし、別にいいだろ」
生まれて何十年立つけど、肉を食えと強要してこない人初めて……!
この人達とは、上手くやっていけそうだなぁ。
「ならよかった」
私は、その日好きな物を好きなだけ食べた。
いつもなら、お兄ちゃんに食べろって無理矢理食べるお肉も食べなくていい。
たまにはお兄ちゃんが側に居ない人生もいいのかも。
そして、食事後お兄ちゃんとメールをしてた。
やっぱり、お兄ちゃんは私の事が心配みたいで、やれ「好き嫌いしなかったか」とか「肉を一枚だけでも食べたか」とか聞いてくる。
他の人なら嫌だって思うけど、お兄ちゃん相手だと嬉しくなる。
一応、食べたことにしてメールしてた時だ。
「ねー、鈴ちゃん。ちょっとは俺らに構ってくんねー?」
「あー、うん。わかった」
って言っても、やっぱりお兄ちゃんが好きだからお兄ちゃん優先。
これを続けることはや数分後。
「あーっと、ごめんねぇ~!?」
急に、水が降ってきた。
正しくは、スマホめがけて降ってきた。
「ちょ、何……!?」
私は、濡れたジーンズよりもスマホを優先。
だって、お兄ちゃんと連絡取れなくなるから。