第16章 踏み出す勇気【チョロ松】
【絵菜side】
デート5日目の午前11時半。私は松野家までやってきた。
待ち合わせ場所は公園だったんだけど、約束の11時を過ぎても誰も来なくて、代わりにMINEでこんなメッセージが送られてきた。
『ごめん絵菜ちゃん!申し訳ないけどうちまで来てくれないかな?君が来るまでには出られるようにするから!』
まだデートしていないのは、チョロ松くんとトド松くん。二人とも口調が似ているからどちらなのかは分からない。
時間にルーズな人は苦手だけれど、この慌てようからするに何かあったのだろう。チョロ松くんはしっかりしてるし、トド松くんは女の子を待たせたりしないはず。
言われた通りにここまでやってきたわけだけど…とりあえず声かけたほうがいいかな?
「ごめんくださーい。笹倉ですー」
すると、何やら玄関の奥から騒がしい声が聞こえてきた。
『…い、…ロ松……くしろ!』
『…チョロ…兄さん、彼女来ちゃったよ!』
『分かって…るよ!大声出さな…ぅわああああーーっ!?』
ドタドタドッターーーンッ!!!
「!?」
げ、現在進行形で、この家で一体何が…?!