第1章 1
私の彼氏さんはヘタレだ。
そして、照れ屋だ。
彼の口からは告白されたあの時以来
好きとか愛してるとかは出てきた事が
ない。付き合っていつの間にか一年の
月日が流れていったけど…まだ一度しか
好きって言われてないってどうなの?
「という訳で、翔くん。好きって言ってください。」
「っぶっ!」
コーヒーを飲んでる途中に言ったせいか、軽く吹き出す翔くん。ティッシュを何枚か取って翔くんに渡すと、それを受け取って口元を拭きながら、いきなりどうしたのと聞いてきた。
「いや、そういや私言われたことないなぁって思ったから。だから言ってほしいなぁと。」
「、告白したときに言ったよ。」
「それっきり言われてないよ…ダメ、かなぁ。」
そう尋ねれば、顔を真っ赤にさせながら視線を頼りなさげに彷徨わせる。
「いや、ダメじゃねぇけど…」
その後に言葉は続かなくて、沈黙が部屋を包んだ。ちょっと無理矢理過ぎたかな…
不安になってると、彼はふぅと息を吐いて、真剣な表情へと変わった。やばい、なんかドキドキしてきた。
「…俺ヘタレだし、あんまり、いや全く言葉にしてこなかった…ごめんな、あかりに甘えてた。言わなくても分かってくれてるって…俺、あかりのことちゃんとす、すきだから…あかり、愛してる。」
「…っ…わ、あ…」
どうしよう。きっと私も今顔が真っ赤だ。とても熱いし。うわあ、久々に言われたけどすっごい恥ずかしいや…翔くんを見ると真剣な顔は無くなってて、恥ずかしさに耐えてるような顔をしていた。顔だけじゃなく耳まで赤く見える。
「翔くん、真っ赤。」
「…すげえ恥ずかしいんだけど。」
「ふふ、確かに言われた私も恥ずかしい、でもすっごく嬉しいよ?また聞きたいなあ。」
笑いながら言うと、翔くんは頭を掻きながらまた気が向いたらね、と苦笑した。
いつもじゃなくていい
そう、たまにでいい
好きと、囁いてほしいの
終わり