第33章 ミニアチュールヌイ・サート 露
欲しいものは、手に入れたらどうせガラクタになるんだと想う。
そう感じたのは僕が出来上がってまもない頃かもしれないし、今日かもしれない。
どれほどお気に入りの玩具を並べても、たくさんの領土を手に入れても僕の心は穴だらけで。
むしろどんどん不安ばかり増えて消せなかった。
そんな中、君に出会ったんだ。
ジャスパーグリーン色の真っ直ぐでいてちょっと気だるそうな瞳を見た瞬間心を貫かれた。
──僕のモノにしたい。
「…あ」
また穴が一つ増えた気がした。
どうせ彼女を手に入れても、僕の心の隙間が埋まるわけでもない。
彼女を悲しませるだけ、傷つけるだけ。
僕にとってのマイナスも、彼女に比例する。
そんな自己中心的な決め付けが彼女との交流を邪魔した。
いや、僕が拒んだんだ。
でも、やっぱりこの思いには嘘をつけないかな。
相変わらず空回りするような不器用な僕でも、彼女だけは微笑んでくれた。
彼女と話してると、探してた答えなんてもうどこにもないのかなって、どうでもよく思えてきてしまう。
「ねぇ、僕のこと好き?」
「…おう」
優しい君だから、僕を傷つけないようにそう言ってくれてるんだよね。
いいよ、嘘をついてこのまま騙していて。
ガシガシとぶっきらぼうに僕の髪を撫でるその指の先も狂おしい程愛してるから。
でも、もしもだよ。
もし、君と新しい一日を始めることになっても
構わないと今なら強く言えるんだから。
もういっそ、繋いでほしい。
荊棘で揺りかごに揺れる君を、今すぐに。
僕と君を、僕と君で。
ごめんねこんな強欲で。
許してね、許して。
自分でも嫌になるんだ。
殺してもいいよ、殺して。
許して、
許して、
コロシテ。
そんな結末になったら柔らかく、誇らしく、抱いてほしい。
そして、扉を開けて手に入れた全てを置いて出ていこう?
何もかも、置いてさ。
そんな世界も、いいと思わない?
END