第10章 俺なら@菅原孝支
「私…飛雄くんの全部、ちゃんと知りたい。分かりたい。飛雄くんの事、1番知ってる彼女になりたい。
私の事、特別だって思ってもらいたいな…」
「そっか…よし。
よかったなー、影山ー!」
ここに飛雄くんは居ませんよ、なんて言い掛けた美心だったが…。
「なんで分かったんスか⁉︎」
「えっ、飛雄くん⁉︎」
なぜだか、角からそこに居るはずのない影山が現れた。美心
は驚いて、反射的にキョロキョロと辺りを見回した。
「ハハ。殺気と視線でバレバレ。
俺と桐谷が話してんの見て、嫉妬でもしてたんだべ?
気配消すなら、もうちょっと上手くやれよな〜」
「スンマセン!…かっこわりぃ…」
「そ、そんな事ないよ!」
美心は立ち上がり、影山の許に駆け寄った。
「と、飛雄くんのそんな所も、全部好きだから……」
照れながらも告白した美心に、影山はときめいた。
「お、俺も好きだ…………美心…っ」
「っ!飛雄くん…!」
嬉しさのあまり、影山に抱きついた。
美心は影山のシャツに顔を埋(うず)め、強く抱きしめたのだった。