第2章 愛しい人を脳裏に映しつつ……
「トトコー、頑張ってるのはわかるんだけどなぁ」
「ごめんなさい、先生。少しでも早く魔法を覚えます……」
私、トトコ=ヨワイはアカツカ冒険者アカデミーに通う一年生。
実は、私にマジシャンの才能があるって言われ、この学校に推薦で入った生徒。
学費から寮費まで全部タダなんだけど……、そのせいで最近ピンチに陥ってる。
実は、お察しの通り、マジシャンの才能があるって言われたのに、魔法が一つも覚えられない。
初級魔法のファイアですら唱えられなくて、入学試験すら通らないこの状況。
「トトコ、お前の魔力は本当に凄いんだ。その無限の魔力でしかも魔力の質は高い。本来なら、高難易度の魔法を連発できる実力なんだぞ?」
そう言われても、実際呪文をきちんと言えてもファイアが唱えられない現実だ。
逆に、できるもんなら私だって魔法を使いたい。
好きで、劣勢生徒に甘んじてるわけじゃないし。
「お前がそのランクに居るから、トド松も一緒になってそのランクに居るんだからな。あのF6のトド松だぞ!?」
F6って言えば、伝説の勇者アカツカの血を引く家系。
しかも、その六つ子兄弟達は揃いも揃って有能ばかり。
私の親友、トド松ことトッティはそのお偉い勇者様の末裔なのだ。
本当なら、先生の言うとおりトッティは最高ランクのマジシャンとして活動してるんだろう。
でも、私のことを心配したトッティは私に合わせてランクを最下位まで落としてる。
しかも、私がこの学校に居れるのも、全てトッティが頭を下げてるから。
「だからな、トトコ。お前に課題を出す」
「課題、ですか?」
「そうそう。伝説のホワイトドラゴンが街を襲ったのは知ってるな?」
「はい、知ってます」
嫌な予感がする。
この流れでいけば、確実にホワイトドラゴン討伐の話が出てくるはず。