第15章 夏休み合宿~最終日~。
新しい速攻が決まり、スコアは梟谷10‐烏野9に。飛雄くんは、躊躇してたのに、翔ちゃんに引っ張られたことが悔しそう。
それでも、翔ちゃんはお前スゲーな!と目を輝かせて褒める。あ、飛雄くーん、形容し難い表情になってますよ←
「もう一回ッ!」
笑う翔ちゃんに俺たちもやるか!と奮起する先輩たち。
翔ちゃん筆頭に うおおおお! と盛り上がる烏野と、ヘイヘイヘーイ!と喧しくする木兎さん率いる梟谷。
そんな様子を見ていた研磨はとクロ。不意に研磨はぽつりと呟いた。
「…翔陽はいつも新しいね」
『うん。そうだね』
「研磨ってさ、チビちゃんの試合見てる時ってわくわくしてるよな」
「してない」
『してるよ。あれだよね、新しいゲーム買ってさ、やりたくてうずうずしてるやつ』
「そうそう、アカリやっぱ分かる?」
「してないってば…」
何気盛り上がる私たちに、研磨はげんなりというか、煩わしそうというか。
クロはやっぱり、研磨にもっとやる気を出してほしいんだろうな。来年はクロはいないし、研磨は一人で頑張らなきゃだし。
『研磨さ、翔ちゃんと同じチームだったらもっとやる気になるんじゃない?』
「翔陽と同じチームはムリ。あの天才1年セッターでさえ立ち止まって、その一瞬を見抜かれてるし」
それもそうか。でもまぁ、翔ちゃんがあんなに怒ったのは相手が飛雄くんだったからだと思うけどな。犬猿の仲のクセに試合になると息ピッタリだし←
「チビちゃんが敵として練習相手に居てくれたら、お前もヤル気だすのにな?」
そう言い直すクロ。研磨は頑なにワクワク顔なんてしてないと認めないけど。
さっきの木兎さんと同じように"常に新しい"翔ちゃんも、周りをあっと驚かせるような、そんな進化をするんじゃないかな。
翔ちゃんは私の自慢のいとこだね?
してる、してないと言い合いを続ける幼馴染み2人を見ながら、微笑ましく思った。