第14章 充溢が生む空白
〜甲板〜
貴)「ふー…」
いつもより少し早く目が覚めたのは、昨日ローと夕方まで寝ていたからだと思う。
昨日は本当に何もしないでゴロゴロしてた。
夕食頃には顔色の悪いペンギンさんとシャチさんが食堂に入り、ローに何かが終わったことを報告して。
ご飯を食べずに寝ちゃったけど…大丈夫かな。
朝起きたらローはもういなかったから勝手にデッキに上がってみたり。
すると扉が開いてシャチさんが出てきた。
シ)「あれ、クレアちゃん。
早いね、おはよー」
貴)「おはよー、沢山寝たから…
昨日大丈夫だった?」
シ)「ああ…大丈夫…
半日くらい寝たし」
少しげっそりとした様子を見せるけど、笑ってくれた。
すると上からカモメの鳴き声が聞こえる。
貴)「なんだろ、あの子」
シ)「ああ、新聞配達のカモメ…
うちも購買してるんだよね…あ、俺が貰うよ」
どこかそそくさとした様子でお金を払い、新聞を受け取るシャチさんを見る。
貴)「なんかニュースある?」
シ)「んー、無さげかな。
そろそろ中入ろっか、お腹すいた〜」
そう言って中に入るシャチさんの後について行こうとすると上でカモメが鳴く。
さっきの子とは違うみたいで、お金も渡してないのに新聞を落としてくれた。
貴)「シャチさーん、なんか追加来たよ〜」
受け取った新聞を片手に中へ入り、後ろで扉を閉める。
シ)「追加?」
シャチさんも新聞を読んでたみたいで、私の声に顔を上げる。
シャチさんに渡す前になんとなく新聞を見て。
呼吸が止まった。