第3章 不幸少女
「好きなの食べな。」
そう言ってメニューを渡されたが、どれもこれも馬鹿みたいに高い。
私が普段食べているお肉なんて、グラム88円の安いお肉だ。
私はそっとメニューを閉じて黒川さんに返した。
「黒川さんにお任せします。」
「あっそう。じゃあ適当に頼んじゃうよ?」
「そうして下さい。」
黒川さんは不思議そうな顔をした。
この人と私は、生活レベルが違い過ぎる。
黒川さんが注文をし、お肉が運ばれてきた。
次々と…そう、次々と…。
「頼み過ぎでしょ!」
思わずそう言ってしまった。
軽く5人前はある。
「いや、シュリがどのくらい食うとか知らねぇし。」
「私そんなに食べそうに見える…?」
「まぁ、いいから食いなよ。」
そう言われ、手を合わせた。
「いただきます。」
まずはポン酢ダレで頂いた。
「おいしい!」
18年間生きてきたが、こんなに美味しいお肉を食べたのは初めてだ。
思わず箸が進む。
「幸せー。」
「ご満悦だな。」
そんな私を見て、黒川さんが微笑んだ。