第1章 レイプ
また、だ。
グシャグシャになったバースデーケーキ。
女の悲鳴。
血の海に倒れる男…。
またこの夢。
早く、目が覚めればいいのに。
「…復讐だ。」
首から下しか見えない男が、そう呟いた。
私は勢い良くベッドから起き上がった。
また、あの夢…。
溜め息をつきながら、額の汗を拭った。
時計で時刻を確認すると、午前5時30分。
起きるにはまだ少し早いが、二度寝をする気にもならず、ベッドから出た。
全身汗だくで気持ち悪い。
私は浴室に向かった。
私の名前は明智シュリ。
都内の通信制高校に通う18歳。
両親はいない。
8年前、事故で亡くした。
散々親戚の家をたらい回しにされ、今は工場で働きながら学校に通い、一人暮らしをしている。
今の時代、高校くらいは出とかないとね。
今日は日曜日。
全日制の学生は休みだけど、通信制は違う。
日曜日が週に1度の通学の日なのだ。
シャワーを浴びて、学校に行く支度をした。
と言っても、制服も無く服装も髪型も自由な学校だが。
あの夢は、両親が死んでからたまに見るようになった。
あの夢を見た日は必ず全身汗だくになって起きる。
夢はいつも同じ所で終わる。
顔が見えない男の「…復讐だ。」というセリフの所で。
午前7時30分。
私は学校に向かった。