第9章 愛初〈 BL 初恋 未練 etc...?〉
昔から、少年の身体が描かれる絵画が好きだった。
まるで死体のような白い肌。その少年が、瞳を少しだけ開けて、丸まって横たわっていた。
あばらが少し浮き出ている。ややはだけた服から、それを確認できる。
僕は、それに釘付けになっていた。
僕の内緒の趣味。
僕は、少年が描かれた絵画の、何か神秘的なモノに惹かれていた。
「オイオイオーイ!まぁたエッチな本読んでらッ!?」
...ヤンキーかぶれのクラスメイトが、オレンジのリーゼントを揺らしながら、僕の世界をジャマしてきた。
ここは賑やかな教室。
皆と同じような行動をしなければ、ほぼ人権が無いといっても過言では無い処刑場だ。僕は今からこの男に断罪されるのだろう。
「キサマが考えるエロ本などでは断じて無い。下賤な物と同じにするんじゃない、馬鹿者。」
と、僕ははんっと笑った。
内緒の趣味。
そうだけど、少年の絵画を鑑賞しているのを知られても、傷つかない程度には、僕は大人になっていた。
...昔はこの趣味を悟られただけで、顔を真っ赤にして涙していたが。
「え〜ッ!?オレちんはそー見えなかったけどォ!?ていうか馬鹿モノって言われたゼ〜〜ッ!?」
と叫ぶリーゼント頭不良かぶれを無視し、僕はその場を去っていった。ふぅ..とため息をついて。
ーー教室から出た瞬間、ハッと、僕は瞳孔を開いた。