第24章 動物園

その後、お金を取りまとめてくれた赤司と虹村に会計を任せて外に出る

一気に冷たくなった手に苗字が息を吹きかけていると、会計が済んだ2人が戻ってきた


『で、これなんだったの？ご飯会？』

「おや、まだ渡してなかったのか」

「はいはい渡す渡す！名前っちこれ！バームクーヘンっス！外側の砂糖が甘くておいしんスよ～！
あとこれ！良いって噂のパック！良かったら使って！」

『…そういうこと？』

「ああ。そういうことだ」


目を輝かせている黄瀬からのプレゼントを受け取る

バームクーヘンだけでなく、最近話題になっているパックが入ってるところがセンスが良いと苗字は笑った


『ありがとう。相変わらずセンスいいね』

「とーぜんっスよ！はい次どうぞ！」

「苗字、カステラだ」

『一気に和風なの来た…けど待って、いいカステラだ』

「この間食べたら美味かったのだよ」

『ありがとう。お返しにカステラなんて初めてもらったかも』


まさかの一本を渡され驚いたが彼なりに選んでくれたのだろうと立派なカステラを受け取る

黄瀬に比べ立派な紙袋に苦笑いしている彼女の周りを、なんとなく順番待ちをしている彼らは次に誰が行くか目配せをし結果として青峰が歩き始めた


「なんかこれ、分かんねえヤツ」

『分かんないやつ渡すのどうなの』

「試食したら美味かった」

『…ワッフルかな、おう、ありがとう』


青峰から受け取った紙袋の中身を覗くと様々な味が箱の中に入っているらしく、外袋に味が書いてある

桃井が驚いている当たり1人で買いに行ったんだろうと推測し、笑っている彼女の元にガサゴソとエナメルバッグから何かを探す紫原が近づいていく


「あったーオレからはねー、これ」

『りんごのフィナンシェ…！おしゃれな…』

「名前ちんりんご好きかなーって」

『紫原～！やっぱメガネグマのぬいぐるみ買えばよかった！』

「なにそれー」

『紫原に似てんだよねー』


メガネグマを調べ画像を見せられた紫原は「全然違う」と真顔で返し、そんな不服そうな彼にケラケラと笑いながら改めてお礼を言う

紫原自身も笑顔で嬉しそうだった