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あなたと永遠に……【イケメン戦国】

第21章 あなたと永遠に……謙信side7


いくさへと向かう途中で立ち寄った国で見かけた簪。
いつもの俺なら興味など示さないが……

手にとった珊瑚を細工した簪

かおるの綺麗な黒髪に映えるだろうな

簪をさしたかおるを想像すると自然に口元が緩んでしまう。

これから命のやり取りをしにいくというのに、俺の心は冷静だ。



「なかなか良い細工だな。かおるに似合うだろうな」

「……俺に用事でもあるのか?」

「いや、店先でお前を見かけたから声をかけただけだ」

「俺はお前に用事はない。さっさと去れ」

「しかし、謙信も変わったな」

「なにがだ?」

「いくさに行くというのに、想うは愛しいおなご……とはな」

「羨ましいだろ?」


にやにやと笑う信玄に苛つくが、俺は今の俺を気に入っている。

戦いしか知らなかった俺に愛する事を教えてくれたかおる。

俺のすべてで守りたい。
かおるを守るためなら鬼になっても構わない。

俺からかおるを奪おうとする者は誰であろうが、斬って捨てる。


「それにしても信長の奴はどうした?」

「進軍してくる様子がないようだな」

「俺はさっさと信長を倒し春日山へと帰りたいんだがな」

「俺も待っている女がいるから帰りたいものだ」

「? 幸村は男であろう」

「なんで幸なんだよ」

「お前の帰りを待っているのは幸村くらいだろ」

「ずいぶんな言い方だな」




信玄との戯れ言を言っている今この時でも、俺の心はかおるでいっぱいだ。



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