第10章 あなたと永遠に……謙信side4
かおるの膝を枕にうつらうつらとしていた俺だが、妙な高揚感に包まれていた。
戦場で味わう高揚感とはまた違う
穏やかに俺を滾らせる高揚感
これは一体なんだ?
初めて味わう高揚感に若干の戸惑いがあるが、心地良い
しばらくの間、このまま春の風に吹かれてまどろむのも悪くはない。
それにしてもかおるという女は不思議な女だ。
この女といると心が和む
が、それと同時に今までにない感情が俺の中にある事に気付かされる。
あの時、信玄に肩を抱かれているかおるを見た時__身体中の血が逆流したかのようだった。
考えるよりも先に刀を抜き、信玄の頸動脈を捉えていた。信玄であろうと誰であろうともかおるに触れる者は斬り捨てるつもりでいた。
何故だ?
戦場でもないのに俺は信玄を本気で斬ろうとしたのだ?
……わからん。
信玄が俺の目の前で女に触れるのはいつもの事だ。
いまさら不快に思う事など無いはず
なのにかおるだけは許せない
俺以外の男に触れさせるなど、あってはならないと思っている。
それほどまでにかおるを気に入っているというのか?
かおるのどこを気に入っているのだ?
考えても答えなどでるわけではない。
ただ
こうしてかおるの膝を枕に寝転んでいる心地良さを手放したくはない。