第3章 あなたと永遠に……謙信side
「……」
「ぷっ……謙信」
「……なんだ?」
「無言で怒るな」
「図々しいぞ、この女」
俺の膝の上には酔っぱらって、事切れた女の頭が乗っている。
無断で俺の膝を枕代わりにするとは、許し難い。
「おい、起きろ」
「ん……んにゃぁ~……」
「猫か?」
「くくっ……(あの謙信が困っている顔してるとは)」
「早く起きろ、俺が動けん」
肩を揺さぶっても、ただ眉をしかめるだけで起きようともしない。
こんな女は放っておいてしまえばいいのだが、何故だか出来ないでいる。
(信玄と2人っきりにしたら貞操が危ないとは思うが、俺には関係はない)
ただ、急務を押し付けた佐助に「くれぐれも信玄様とかおるさんを2人っきりにしないで下さい!!」
とは言われてはいるが……
それを馬鹿正直に守るつもりもないが__
「へへっ……」
笑った
「むう……」
怒った
この女の寝顔を見ているのは面白い。
笑ったり、怒ったりと忙しい奴だ。
「うっ……」
「……」
「謙信もなかなか大胆だな。かおるの帯をほどくとは……出来れば俺のいない所でやってもらいたいものだ」
「お前と一緒にするな__苦しそうだから緩めているだけだ。他意はない」
「ずいぶんと優しいな」
「……優しくしているつもりは無い」
「そうかねぇ……(そのわりに優しい顔をしているようだが?)」
優しくしているつもりは無い。
ただ、この女の寝顔が見ていて飽きないだけだ。
退屈な日々を過ごす俺の暇つぶしにすぎない
それだけだ