第26章 あなたと永遠に……最終章
「懐かしいな」
「はい、私たちが初めて会った場所ですから」
私と謙信様は湖に来ていた。
あの崖の上から湖に落ちた私を助けてくれたのが謙信様。
世の中にこんな綺麗な人がいるなんて初めてしった。
最初の頃はとても冷たい人って思っていたのに、謙信様を知れば知るほど惹かれていってしまっていた。
「来年も見事に咲き誇るんでしょうね」
「そうだろうな」
謙信様と一緒にお花見をした夫婦桜。
今は来年に備えて栄養を蓄えているんだね。
「ここで私、気付いたんですよ」
「ん?」
「膝枕をした時に……謙信様の事が好きなんだって」
「お前もか?」
「謙信様も?」
「俺はもともと人を好きになるという感情を理解できない男だったからな。ただ、かおるの膝が心地良くて手放したくない__そう思っていたが」
「くすっ……謙信様らしいですよね」
「むっ……俺らしいか?」
「ええ……とても」
私は今、とても穏やかな気持ちでいっぱい。
空を見上げれば澄んだ青い空が広がっている。
耳を澄ませば鳥の鳴き声。
優しい風が私と謙信様を包んでいく。
そっと左手の薬指に触れると未だに色も形も変えないしろつめくさの指輪。
まるで私と謙信様の愛を祝福しているみたいに
私と謙信様は愛し合って良かったんだ
謙信様を愛した事、私は決して後悔なんかしない。